閉館・イオンシネマ海老名~EP3 THX認定劇場 スクリーン7~

閉館した映画館
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前回はスクリーン1から6について書きました。個性的で特徴あるスクリーン達でイオンシネマ海老名の魅力はスクリーン7だけではない事がお分かりいただけたかと思います。

とは言いつつもやはり1番人気のTHX認定劇場のスクリーン7が看板劇場であり、数多くの作品を上映する中でこのスクリーンのファンになった方も数多くいるでしょう。

今回はスクリーン7について書いていきます。

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日本初シネコンの日本初THX認定劇場

日本初のアメリカンスタイルシネコンであると同時に日本で初めてTHXの認定を商業映画館でクリアしたのがイオンシネマ海老名のスクリーン7になります。

前に軽く記事を書きましたが、THXは数多くある基準を満たすことで得られる認証であり、THXであるから特別であるということは実はありません。一定の基準をギリギリ満たしても大きく超えても同じTHX認定になる為劇場によって大きな差もありました。

様々な変化を経て今はIMAXとDOLBY CINEMAがハイクオリティな音と映像、環境の代名詞となっていますが、閉館まで最も古いTHX認定劇場でありながら非常に高い評価と多くのファンがいるスクリーン7は他のTHX認定劇場とは何が違うのでしょうか。

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イオンシネマ海老名 スクリーン7を考察

他から完全に独立した劇場

イオンシネマ海老名はイオン海老名2階にあり、1から6のスクリーンも同階ですが、スクリーン7は3階にあります。入場の際はチケット確認後左手の階段かエレベーターで上に上がります。これは階層を分ける事でロビーや他のスクリーンからの音漏れの影響をなくすための物で十分な距離がある事で映画に集中出来る静かな環境を作っています。

階段を上がると開けた空間があり、ちょっとしたロビーのようになっています。手前と奥にスクリーン入口があり、中央にはトイレが設置されています。スクリーン7で上映される作品のスタンディやポスターなどが展示されていました。

自分は奥側、劇場左手から入るのが好きでした。

扉の先には階段があり、奥に座席とサラウンドスピーカーが見えます。このアングルからでもとても規模が大きな劇場である事が伝わってきます。

スクリーン7

スクリーン1から6番と比べるとはるかに広大な空間です。巨大なスクリーン、525席の客席をまんべんなく取り囲むサラウンドスピーカー群が圧巻です。

358席のスクリーン3の規模を考えるとかなりの余裕があるのが分かります。また場内が後方に向かって広がっていく複雑な構造となっているのが分かります。

スクリーン3、5、6の映写室は手前にせり出していましたがスクリーン7は逆に凹んでいます。映写窓がセンターにないので建築的要因もありそうですが、後ろ壁の吸音層の厚みを持たせている事も考えられそうです。写真だと明るくしていますが実際には足元の段差が見えない程に暗い場所です。
また最後列は映写機の光が気になる場合があります。その為映写窓に角度がついていたり、映写窓付近に工夫がある場合があります。スクリーン7は狙ったかは分かりませんがハの字に凹んだ両壁のおかげで左右に余計な光を広げない形になっています。

スクリーン7も天井が後方に向かって傾斜しています。前記事で書いた通り、スクリーン5・6をミニマム7番と感じる人もいるのではないでしょうか。

スクリーン上部の天井は反射の少ない部材が使用されていて照り返しを防いでいます。その先にある分煙板も黒いカバーがかけられており不要な反射をなくしつつ、影が出来る事で映写クオリティ向上に一役買っています。

The Audience is Listening~静寂の為の工夫~

他と大きく異なる点として空調設備があります。他のスクリーンは天井に吹き出し口がありましたがスクリーン7は左右壁面の上部にあります。排気はスクリーン左右にあり、独立構造も相まって余計な騒音のない静かな空間になっています。

壁に技あり

スクリーン7の壁面は今の映画館に比べ反射面が非常に多くあります。オーディオ雑誌のステレオ 2026 年6月号に詳細が掲載されていますが、左右壁面が互い違いで吸音・反射、後壁は吸音の構造になっています。貴重な内容ですので興味があれば下記リンクから覗いてみてください。既に販売終了となっていますが中古品が少数あるようです。

月刊誌・季刊誌 stereo - 音楽之友社
●特集田中伊佐資がやりたかったことド直球!青春ロック聴きまくり(対談 奥田英朗×田中伊佐資)田中伊佐資の音盤&オーディオ青春記(牧野良幸)スピーカーユニットの修理&改造穴埋めは フルレンジあの三共無線の未公開倉庫に乗り込む!オーディオビジュ...
stereo 2026年6月号 - 音楽之友社
●特集いい音発見!オーディオと温泉 【浜松編】ヤマハリゾート 葛城 北の丸/ネルカフェ マイルストーン/トゥルネラパージュ(編集部 吉野) 【新潟編】湯田上温泉 ホテル小柳/喫茶 2楽章/玉庭本店/吉田時計店 他(編集部R) 【長野編】ペン...

実はステレオを読むまでスクリーン7は前方が反射、後方が吸音のライブエンド・デッドエンドに近い構造で傾斜がついた側壁から後壁に音を集めて吸音していると考えていたのでとても勉強になりました。閉館してなお新たな発見があるスクリーン7の懐の深さが分かります。

見やすさと迫力が両立したスクリーン

THX認定は音響メインの認証と思っている方もいますが映写についても基準があります。最前列でのスクリーン上面への見上げ角度が35°以下、最後列でのスコープサイズの水平方向の視野角が、26°以上36°以下というもので、つまりは最前列の見上げる角度と最後列中央からスクリーン両端の角度の事であり、適切なスクリーンサイズや座席配置が求められているわけです。またこの角度に収まらないサイズになるとスクリーンが大きすぎる、箱の形が悪い、映写機の角度を極端につけるなど映写に無理が出てきますので必然的に映写の良さに関わってくる要素になっています。

両端からでも見やすい座席

スクリーン7の壁際の席付近に来た事のある人ならば気が付いた方もいると思いますが、通路を挟んで左右ブロックの座席付近でもスクリーンが見やすいのが分かります。スクリーン7は後方に向かって広がる形の為遠ざかるほどに見づらくなるはずですが、写真の矢印を見ると分かるように左右ブロックの座席は流石にスクリーン中央とまではいきませんがビスタの映像も十分に視界に入る様急角度になっています。2枚目の写真や先に乗せた横から見た写真を見ると分かりやすいですが中央通路前のN列の両端は1列前のO列の角度のついていない列よりも前にあるというかなりの角度です。あまりの角度で席の間を移動するのがちょっと大変でした。

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最も古いシネコンながら閉館まで多くのファンに愛されたスクリーン7

1993年にこのクオリティの映画館がいきなり現れたのはとてつもない衝撃だったと思います。完璧なスタジアム構造、当時では規格外の巨大スクリーン、デジタルサラウンド、多くのお客さんが度肝を抜かれた事と思います。どうしても古さを感じる部分があったり現代では苦しい部分も見えますがここでしか体験出来ない映画体験であったことは間違いありません。

サブウーハーこそ新しいものに交換されたもののスピーカーはJBLの4675Cカスタムと8330というSR時代のスピーカー、スクリーンサイズはTHX基準で現代主流の視界いっぱいのスクリーンには及びません。ドルビーシネマやIMAXもあり、独自音響システムやライブ用スピーカーを使う劇場、アーティストや製作者慣習の音響調まであるなかでイオンシネマ海老名のスクリーン7は閉館まで最新の映画館と同等に評価されている事もありました。THXのブランドや様々なイベント上映もあったにせよ作りこまれた場内や今のシネコンにはない音場感、空気感、スクリーン7にいたっては王者の風格とも言える雰囲気もあるのかもしれません。古いものでも作りこまれたものは素晴らしく新しいものに引けを取らない物があるというのは映画館に限らず多くの物に共通する事だと思います。スクリーン7に限らずイオンシネマ海老名が閉館になった事が本当に残念です。

次回はスクリーン1から7を含む様々な小ネタや思い出話等を書いていきたいと思います。

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